保存工事が続いていた世界遺産・原爆ドーム(広島市中区)で、全体を覆っていた工事用の足組みや作業用の床が25日までに撤去された。被爆後5回目となる今回の保存工事では、白っぽく変色していたドーム形の屋根の鉄骨部分などの鋼材が、被爆当時の茶色に塗り直された。
被爆75年の節目となった昨年8月6日までの完成を目指した工事だが、19年2月以降入札の不調が続き、昨年6月に4回目でようやく施工業者が決定。昨年9月に始まった工事では、れんがとれんがの間の接ぎ目部分をはがしてしっくいで補修する作業もした。市公園整備課の佐々木正治課長は「やっと完了を迎え、ほっとしている。現場で見て頂き、被爆当時の状況を感じてもらいたい」。
原爆ドームは1915(大正4)年、広島県物産陳列館として完成。30年後、南東160メートルの上空で原爆が炸裂(さくれつ)したが、屋根の鉄骨や外壁などの一部は倒壊を免れた。(宮崎園子)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル